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【小話】Merci rosalie
2011-07-10 (日) | 編集 |
創作熱が上がってきてしまい、懲りもせずに書いてしまった…!
時系列を考えると、前回の話→Memo8→今回の話、かな?

ノーチェとロザリーさんの話です。タイトル、間違ってる気がしてどきどき…どうか多目に見てくださいませ(笑)

相変わらず、妄想による捏造が多分に含まれますのでご注意ください!







『明日、時間あるかしら』
『…?はい』

ロザリーが嘆きの崖へと自分を連れ出した理由は、単に友情を深めようと思って…なんて訳では無いはずだ。どうしてかノーチェは、そう確信していた。
ロザリーは遠くラトの木を見つめながら、口を開いて、かと思えばすぐに閉じてしまう。ノーチェは焦れったく思いながらも、話しかけることはせず、彼女が喋り出すのを待っていた。それがおそらく、今日この場所に来た本当の目的なのだと踏んでいたからだ。
再び、ロザリーが口を開く。今度は閉じられなかった。

「ノーチェちゃんは、ロビン殿下と付き合っているのよね」
「あ……えっと、はい。…すみません」
「やだ、どうして謝るの?……でもその様子じゃあ、知っているのね」

私と彼の事、とロザリーはバツが悪そうに呟いた。
(ほらね、思ったとおり)
ノーチェの考えは当たっていたようだ。これこそが、今日の本題であった。
咄嗟に謝ってしまったノーチェだが、別に悪いことはしてないよなあ…とぼんやり思う。ロザリーとロビンのことは、付き合う前から知っていたので、黙ったまま頷くことで返事とした。

「そんな顔しないでちょうだい。貴方を責める為に連れてきた訳じゃないわ」

そんな顔ってどんな顔だろう。自分でも分からず曖昧に笑ってみせると、ロザリーはかすかに眉を寄せた。その反応から、うまく笑えていなかったらしい、と悟った。

「ごめんね、私のせいよね」

彼に別れを切り出していたでしょう?と続いた言葉に、ノーチェの表情が硬くなった。どうやらロザリーに現場を見られていたようだ。出会ったときもそうだったけれど、本当になんともタイミングの良い人ですこと!
「私のせいか」と聞かれたら、いいえ、とノーチェは言い切ることが出来ない。なんだか悔しいのと、聞かれていたのが恥ずかしいのとで、妙な反抗心が湧く。

「……どうして」
「え?」
「それなら、どうしてロザリーさんから、別れようとしないんですか!」

つい、きつい口調になってしまった。ロザリーは悲しそうな顔をして、約束したからよ、と笑った。なんでもロビンが幼い頃、ロザリーに「大人になるまで待ってて」と、まあ要するにプロポーズまがいなことを言ったらしい。それに彼女は了承の返事をしてしまった、と。

「そんな…だって子供の口約束でしょう?」
「ええ、そうよ!たかが子供の、笑っちゃうような約束なの。それでも…私にとってはそうでも、彼にとっては違ったのよ!」

普段が穏やかな分、ロザリーの勢いにたじろいでしまう。それが伝わったのか、ロザリーは一呼吸置くと、幾分か落ち着いた声で話を続けた。

「彼、成人した日に会いに来たの。昔と同じように花を持って、ね。もちろん、断ったわ。とうに私は結婚していたんだもの」

ロビンとロザリーは五つも離れている。それはどうしようもないことだった。

「何度も来られるたびに、罪悪感でいっぱいになって……結局、押し切られちゃった。でも間違ってたわ…何度だって、断り続ければよかった」
「ロザリーさん……」

ロビンの性格を考えたら、なんとなく納得できた。頑固な彼のことだ、一度こうと決めたら、そう易々とは曲げないだろう。 

こんなおばさんの、どこがいいのかしらね。ロザリーは首をすくめて苦い笑みをこぼす。そうは言うものの、彼女はノーチェから見たって十分に可愛らしい人だった。
――ずるい。
ノーチェは唇を噛んだ。ゆるくウェーブのかかった金の髪に、幼く見える顔。加えて少し泣き虫なロザリーは、やっぱり可愛くて、ずるいと思った。
出来ることならそんな風になりたかった。泣き虫な自分なら、ロビンは慰めてくれただろうか?息をするように、当たり前のように、ロザリーを愛している彼は。
口元がひきつってうまく笑顔も作れない。そのくせ、素直に泣けもしない。こんなかわいくない自分では、ロザリーの代わりにはなれそうも無い。

逸らすようにして視線を斜め下へ持っていくと、森の入り口が見える。あの森へ、いつか二人で行ったのだろうか。昼間でも薄暗く、霧だかもやだかが立ち込めているそこは、確かに、そういうことにはおあつらえ向きの場所かもしれない。それと同時に、子供たちの遊び場でもあるというのには、少し驚いてしまうけれど。
ちらりとロザリーを窺うと、彼女もノーチェと同じように森の方を眺めていた。今、何を考えているのだろう、と思いはしたが、訊くことはできなかった。それに、ロザリーから聞いてばかりなのは、不公平な気がした。だから。
ノーチェは意を決したように口を開いた。

「…私、殿下の好きな人がロザリーさんだって知って、それで近付いたんです」

ロザリーは弾かれたように顔をあげると、ノーチェの方を向く。その視線を受け止めながら、ノーチェはぽつぽつと話した。

「ロザリーさんは結婚していたし、彼の恋が報われないものだって分かって…チャンスだと、思って……」

(ああ狡いのは私じゃないか。それを棚にあげて、よくもロザリーさんのことを言えたものだわ)

声が少し震えたのが、自分でも分かった。
狡いんですよ、こんなにも。そう告白したノーチェに対して、ロザリーは静かに首を横に振った。そうしてわずかに頬を緩めた彼女に、ノーチェは許されたような気がした。
「泣き虫なロザリーさん」は、けれど、一度も涙を見せることはなかった。
ねえ、ノーチェちゃん。呼び掛けたロザリーは眉をハの字にしているのに、瞳は強く、真っ直ぐにノーチェを見つめていた。

「あのね、私がこんなこと言うのは可笑しいって、分かってる。それでも、お願いよ……彼を諦めないで」

ロザリーは真剣な顔をしているし、ふざけていないのはよくわかる。それなのに、ノーチェはきょとんとしてしまった。

あきらめる、諦めるかあ…そんな選択肢もあったのか、と何故だか感心した。
ロビンと距離を置こうとは思ったけれど、「諦める」という考えが、ノーチェには浮かばなかった。
大体、そんなに簡単に諦められるなら、好きになんてなっていない。
――うん、そうよ。ノーチェは改めて、自分の想いを自覚した。

「諦める気は更々ないですから、ご安心を!」

ちょっと気取ってはっきりと断言したノーチェは、くるりとロザリーに背を向ける。
ありがとう、ごめんなさい。
呟いた声がロザリーに届いたかは分からないが、背後でロザリーが笑った気がした。


(次に来るときは、純粋に友情を確認しあいたいね。)
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